マリちゃんの話(その3)
別れは突然やって来る。マリちゃんの場合も、であった。
雨の日も雪の日も風の日も嵐の日も、体調が悪くてぐったり気味でうちでゲロゲロ吐いた日も、耳の下に怪我をして痛々しい姿の日も、マリちゃんはせっせとうちにやって来た。マリちゃんが最後に来た日、その日、マリちゃんは寝てばかりいた。いつも寝てばかりいる猫であったが、その日はちょっとばかし、様子がおかしい寝方であった。なので、マリちゃんちに抱えて連れて行き「さ、うちへお帰り」とマリちゃんちの玄関で放したのだが、ぐったりして動かない。こりゃこりゃと騒いでるうちにマリちゃんちの人が出てきて、マリちゃんは車の下に隠れてしまった。「昨日から様子がおかしくて、食欲がなくてね…マル、出ておいで」との説明に納得。やはり、おかしかったのだ。ようやくマリちゃんが出て来たので「マリちゃん、元気になるんだよ」と声を掛けて見送ったのが、私が生きたマリちゃんを見た最後であった。次の日、病院へ連れていったものの、老衰のため、もう入院するよりも自宅で最後を迎えた方がよいでしょう、と言われ返されたのであった。それから四日後、マリちゃんは息を引き取った。マリちゃんが危篤状態の四日間、私は気が緩むたびに泣いた。わんわん泣いた。母から「まだ死んでないのにそげん泣かんでよかろうもん」と言われても泣いた。マリちゃんがもうすぐ死ぬかと思うと涙が止まらなかった。家で泣き、地下鉄で涙ぐみ、さすがに仕事中は泣いてはいられなかったが、会社のお使いで銀行へ行くと待ち時間にぼ〜っとなりほろほろ泣いた。それをウォーリー(会社の後輩:ウォーリーを探せのウォーリーにそっくりなので密かに私がつけたあだ名)に話すと「きっと、お金を貸してもらえなくて泣いてると思われてますよ、あ、この人、かわいそうって」だの、昼休みに「泣いていい?あ〜今もマリちゃんが苦しんでいるかと思うと、涙が止まらん」と言うと、ウォーリーは「泣いていいですよ。でも、よその猫なんですよね?」と冷静に言い返すので、時折、涙が引っ込んだりしたのだけれど。仕事から帰ったらマリちゃんのお見舞いに行くと決めていた日の午後、マリちゃんは天国に行った。私はさらにわんわん泣いた。マリちゃんが亡くなる日の2、3日前、最後の力を振り絞ってうちへ向かおうとして、道の途中で力尽き、倒れた、という話を聞いて、さらに声をあげてわんわん泣いた。亡くなった父には申し訳ないが、父が亡くなった時以上に私は泣いたと思う。どこからこんなに涙がでるのかと思うくらいに泣いた四日間であった。マリちゃんは安らかな顔をして眠っていた。私は「ありがとう」と言うのが精一杯だった。今、巡り巡って、マリちゃん愛用のキャリーケースとトイレが我が家にある。ウニちゃんを拾ってから、マリちゃんちから急遽、頂いたのである。まさか、こんな風にマリちゃんの遺品と対面することになろうとは。ウニちゃんはマリちゃんに見守られているのか、今の所、元気にすくすく育っている。出来ればマリちゃんにウニちゃんの守護霊さんにでもなってもらい、末永く見守ってもらいたいなぁと思う今日この頃である
雨の日も雪の日も風の日も嵐の日も、体調が悪くてぐったり気味でうちでゲロゲロ吐いた日も、耳の下に怪我をして痛々しい姿の日も、マリちゃんはせっせとうちにやって来た。マリちゃんが最後に来た日、その日、マリちゃんは寝てばかりいた。いつも寝てばかりいる猫であったが、その日はちょっとばかし、様子がおかしい寝方であった。なので、マリちゃんちに抱えて連れて行き「さ、うちへお帰り」とマリちゃんちの玄関で放したのだが、ぐったりして動かない。こりゃこりゃと騒いでるうちにマリちゃんちの人が出てきて、マリちゃんは車の下に隠れてしまった。「昨日から様子がおかしくて、食欲がなくてね…マル、出ておいで」との説明に納得。やはり、おかしかったのだ。ようやくマリちゃんが出て来たので「マリちゃん、元気になるんだよ」と声を掛けて見送ったのが、私が生きたマリちゃんを見た最後であった。次の日、病院へ連れていったものの、老衰のため、もう入院するよりも自宅で最後を迎えた方がよいでしょう、と言われ返されたのであった。それから四日後、マリちゃんは息を引き取った。マリちゃんが危篤状態の四日間、私は気が緩むたびに泣いた。わんわん泣いた。母から「まだ死んでないのにそげん泣かんでよかろうもん」と言われても泣いた。マリちゃんがもうすぐ死ぬかと思うと涙が止まらなかった。家で泣き、地下鉄で涙ぐみ、さすがに仕事中は泣いてはいられなかったが、会社のお使いで銀行へ行くと待ち時間にぼ〜っとなりほろほろ泣いた。それをウォーリー(会社の後輩:ウォーリーを探せのウォーリーにそっくりなので密かに私がつけたあだ名)に話すと「きっと、お金を貸してもらえなくて泣いてると思われてますよ、あ、この人、かわいそうって」だの、昼休みに「泣いていい?あ〜今もマリちゃんが苦しんでいるかと思うと、涙が止まらん」と言うと、ウォーリーは「泣いていいですよ。でも、よその猫なんですよね?」と冷静に言い返すので、時折、涙が引っ込んだりしたのだけれど。仕事から帰ったらマリちゃんのお見舞いに行くと決めていた日の午後、マリちゃんは天国に行った。私はさらにわんわん泣いた。マリちゃんが亡くなる日の2、3日前、最後の力を振り絞ってうちへ向かおうとして、道の途中で力尽き、倒れた、という話を聞いて、さらに声をあげてわんわん泣いた。亡くなった父には申し訳ないが、父が亡くなった時以上に私は泣いたと思う。どこからこんなに涙がでるのかと思うくらいに泣いた四日間であった。マリちゃんは安らかな顔をして眠っていた。私は「ありがとう」と言うのが精一杯だった。今、巡り巡って、マリちゃん愛用のキャリーケースとトイレが我が家にある。ウニちゃんを拾ってから、マリちゃんちから急遽、頂いたのである。まさか、こんな風にマリちゃんの遺品と対面することになろうとは。ウニちゃんはマリちゃんに見守られているのか、今の所、元気にすくすく育っている。出来ればマリちゃんにウニちゃんの守護霊さんにでもなってもらい、末永く見守ってもらいたいなぁと思う今日この頃である

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